くじらDのブログ

主に3DCGやUnity関連の開発メモ

4,5年前に鬱から立ち直った話

4,5年くらい前の昔話です。

 

うつは発症のきっかけも、重症度も、立ち直るきっかけも違うので、あくまでも個人の経験のお話です。

同じ境遇の方がもしいらっしゃって、これを読んだときに立ち直るきっかけになればいいかなと思っています。

 

きっかけ

仕事です。受託でクライアントのためにスマホアプリを作るという業務でした。当時は僕のチームは人も少なく、僕自身も仕事を動かす能力も、提案力もなかったのでクライアントの希望のままに、ものを作っていました。

多くの場合は、クライアントにも大枠のイメージが出来上がっているため、デザインやワイヤーフレームの段階でも2,3度の校正、開発に入ってからも週1、隔週ごとなど、定期的にテストフライトなどでビルドしたものを確認してもらいながら仕上げていく。という流れで開発するのはうちでの開発方法でした。

 

が、時々、要件定義も行わず、仕様の決まっておらず、まずは動くところを見て考えながら作っていく。みたいなことになる場合があります。

 

今の僕であれば、その場合の最低限の開発期間を提示したり、それなりの期間と工数に見合った費用をいただいたり、こちらの作業に見合った条件を提示することができるのですが、当時の僕にはそのあたりを提示する権限もスキルもなかったのです。

 

それができなかったために悪く言えば振り回されることになってしまい、1ヶ月の間に出してみて、「イメージと違うなぁ」と返事をもらい、どんなイメージかを聞いてみれば明確なイメージを提示してもらえず、、、ことの繰り返し行い、スケジュールは削られ、結局クライアントからは明確なクライアントのイメージを引き出すことなく、僕の精神疲労でやられてしまいました。

その案件は、他のスタッフに引き継ぎ、その後も結局どれだけ作っても先方のイメージとこちらが提示するものが合致せず、頓挫しました。

 

当時は自身がうつになるなんて全く考えてなかったので、うつであることは正直気づいていませんでした。ただただ仕事がうまくいかず自分で自分を追い込んだせいでこうなってしまったと考えていました。悩めば悩むほど自分を責めていってしまうのです。

いつの間にか週末は体を起こすことなくずっとベッドの上、だんだんと朝も起きれなくなり、休憩時間に一度体の力を抜けば起きる気力もなくしてしまう。いよいよ何もしてないのに突然泣き出すほどに。。

 

全く自分の症状に気づかずにそんな状態で3ヶ月程度。

 

ちょうどその時期、電通でも女性社員も事件がありまして、それを見たときに病院に行ってみようかという気持ちになりました。で、診察で問診を受けた結果、うつとの診断になりました。

 

診断後

その後は、会社にも相談しました。幸い、会社は理解していただきまして僕が当時受け持っていた仕事を社内のスタッフで回し、僕自身にも療養の期間をいただきました。といっても数ヶ月間休むという感じではなく、午前中は休みをいただいたり、どうしても体調が優れなければその日はお休みをいただく。という具合です。これは僕の希望もあり、そうさせていただいたのですが。

(今のご時世はそれがやりやすい時代になりましたが、4,5年前はまだ世間的にはそうではなかったのです。電通の事件がきっかけだと思いますが)

 

そうやって、多めに休みをいただきながら自分のことや仕事のやり方を考え直す時間を長めにいただいたことで、ちょっとずつ考え方を変えていきました。

まずは、体に負担をかけないように、

仕事とプライベートを明確に切り分ける作業を行いました。

 

 

・睡眠はしっかりとる

・日光をあびる

・生活リズムを安定させる

・しっかり食べる

 

みたいな生活に関することや

 

・自分にコントロールできないことは、放っておく

・他人のことに必要以上に悩まない

・休むときは仕事のことは考えない。メールもSlackもChatworkも見ない

 

という考え方の改善まで。

考え方については意識だけでは変えられません。特に社畜と言わざるを得ないくらい仕事漬けになると悪い意味でメールの内容はすぐに確認しないと気がすまない。SlackやChatworkの通知が届くと反射的に開いてしまう。でも通知が来ると心臓が締まるような感覚がしたり、動悸が起こったりするということになってしまっていたので、スマホを持ち歩かない、アプリは消すなど無理やり見れない環境を作っていくことで習慣を作っていきます。

 

立ち直るまでは半年くらいかかっていたと思います。

仕事面では、しばらくは誰かと一緒に状況を常に共有する体制を整えました。(体制が整っている会社では当たり前でしょうが、当時のうちの場合は個々のエンジニアが自分が持ってる4〜5個の案件で手一杯みたいな状況でしたので)

 

その体制を整えてもらって、仕事への気持ちも持ち直してきました。

 

仕事もプライベートもようやく慣れてきたところで、また週末にメールやら他のメッセンジャーアプリを確認しても問題ないくらいには戻ることができました。

今でも確認はして、必要なものは返信する。翌週でも良いものは翌週にする、とりあえず返事だけはしておくくらいの切り分けを行うくらいです。

 

 

転職はしていないので、今でも同じ会社にはおりますが、そんな経験もあってか仕事を自分ひとりでも回せるようになったり、こちらの精神が削られることの無いような交渉も僕自身で行うことができるくらいになりました。

 

幸い、僕の場合は会社の方々の理解と迅速な対応があったおかげで立ち直るのはだいぶ早かった方だと思います。その後も会社全体で対策が講じられたりもしたので、だいぶ仕事でのストレスはない方だと思います。

ただ、クライアントによって、タイミングが悪くてハードなプロジェクトが重なることもあり、精神的に苦しくなるときもありますが、なるべく休息の時間を作り、自分を大事にする時間をとることが回復の近道ではないかなと、今になって思っています。

 

僕は運がいい方ではありますが、もし、

同じ境遇の方がいらっしゃって、これを読んでいただきなにか参考になることがあれば幸いです。